『ですから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけなさい。』(Iコリント10章12節)
高い山はそろそろ頂に雪を抱く季節となり、シーズンも終わりと思っていた秋のこと。低い山なら大丈夫かも…と思い直し、ある休みの日に薬莱山へと向かいました。今回は登山が初めての子どもも連れていきました。名物の706段の階段を、手足をフル動員してよじ登る姿に頼もしさを感じました。
途中天気が急変し、霰(あられ)が降ってくる寒さでしたが、幸い頂上では雲も晴れ、美しい大崎平野が一望できました。生まれて初めての光景に興奮気味の彼女でした。
さて、その下り道でのこと。既に木々は完全に葉を落とし、一面落ち葉の登山道はとても滑りやすくなっており、各人何度か滑って転びました。そして「あと少し」というところまで来た時、今日が初登山の子どもが派手に転びました。
慌てて助けようと手を伸ばしたその瞬間、今度は私の体が宙を舞いました。出した足の下が泥で、グリップが全く無かったのです。転ぶまでそれに気づかず、子どもたちに笑われてしまいました。
このことから教訓を得ました。それは「人を助けるためにはまず自分の足もとがしっかりと据えられていることが絶対に必要だ」ということです。そしてこれは私たちの「信仰の歩み」にもそのまま当てはまることだと言えるでしょう。
「誰かを助けたい」と熱心に思うことが私たちはあります。しかし、熱心のあまりに、神様に人生の土台を置くことを忘れてしまっていることがあるのではないでしょうか。しかしそれではうまくいきません。
まず私たちを創造してくださった神様に、人生の土台をしっかり据えましょう。人に向かうのはその後にしましょう。そうすれば「救助者自身が転ぶ」という本末転倒を避け、実のある援助ができるのではないでしょうか。
そんな教訓を得た、秋の日の山道でした。